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Tokyo Tech Talks #4:AI、エージェント、Strange Loop

2026年5月26日に恵比寿Build+で開催したTokyo Tech Talks #4のレポート。Mitchell A. Carrollが、自己参照、フィードバックループ、そしてエージェント型AIが通常のソフトウェアと違って感じられる理由を語りました。

イベント レポート エージェント

Tokyo Tech Talks #4 参加者の集合写真

2026年5月26日、恵比寿のBuild+にて Tokyo Tech Talks #4 を開催しました。今回のテーマは Closing the Loop。システムが自分の行動の結果を観測し、それをもとに考え直し、もう一度試せるようになると何が変わるのかを扱いました。

この夜の中心になったのは、Mitchell A. Carrollによる AI is a Strange Loop です。Douglas Hofstadterの「Strange Loop」という考え方を手がかりに、現代のAIエージェントを見直すトークでした。Strange Loopとは、階層を上へ進んでいるはずなのに、いつの間にか出発点に戻ってくるような自己参照の構造です。人間の意識では、それが「私」という感覚につながる。ソフトウェアでは、それが静的な道具から、行為者のように見えるシステムへの変化を考えるヒントになります。

予測からエージェンシーへ

このトークで大事だったのは、LLMが文章を生成できるという話ではありません。面白いのは、モデルの出力が次の入力になるときです。

普通のモデル呼び出しは、返答を出して終わります。一方でエージェントは、観測し、理由を考え、ツールやコマンドで行動し、その結果を評価して、さらに続けるループの中に置かれます。この小さな構造の違いによって、システムは自分の失敗に気づき、手順を修正し、ひとつの目的を複数のステップにわたって追いかけられるようになります。

だから、エージェント型のソフトウェアは単なるチャットボットと違って感じられます。「エージェンシー」はモデル単体の中だけにあるのではなく、その周囲に作られた再帰的なシステムの中にあります。

ループそのものが振る舞いになる

Mitchellが挙げた例のひとつに、カメラを自分自身の映像を映すモニターへ向ける、というものがありました。カメラだけにも、モニターだけにも、複雑なフラクタルのような振る舞いは入っていません。出力が入力として戻ってくるから、その複雑さが生まれます。

この見方は、AIエージェントにもよく当てはまります。メモリ、ツール利用、評価、リトライ、ユーザーフィードバック、合成データ。どれも別々の機能に見えますが、出力が次の入力になるという同じ形の一部です。私たちは単に賢い関数を作っているのではなく、直前に起きたことをもとに次の行動を変えるループを設計しています。

難しいのは、そのループが大きくなったときに、まだ理解できる形で保てるのかという点です。エージェントがデジタル世界の多くを生成し、その生成物で未来のモデルが学習するようになると、AIはあとで自分が観測する現実そのものを形作り始めます。フィードバックは局所的なものではなく、文化的なものになります。

会場に残った問い

Tokyo Tech Talksでいつも面白いのは、スライドの後に続く会話です。今回のテーマは、そのための問いをたくさん残してくれました。

どの時点で、システムは「コード」以上のものになるのでしょうか。自分の出力を批評できるエージェントを、ユーザーの意図から離れないようにどう設計すればいいのでしょうか。レコメンダーやエージェント、ワークフロー支援ツールが人間の行動を変えるなら、そのループを本当に動かしているのは誰なのでしょうか。

答えは簡単ではありません。でも、そうした問いこそ、ビルダーが集まる場で話す価値があります。ループを閉じることは、ソフトウェアに力を与えます。同時に、何を観測し、何を記憶し、何を最適化してよいのかを設計する責任も生まれます。

Mitchellのスライドはこちらからダウンロードできます。 AI is a Strange Loop

次に向けて

Tokyo Tech Talksは、実践的で、少し不思議で、でも今まさに必要な会話をする場になってきています。第4回で強く感じたのは、次のAIの波を決めるのは、モデルの大きさだけではないということです。そのモデルをどんなループの中に置くのかが、これからますます重要になります。

恵比寿まで来てくださった皆さん、ありがとうございました。次回以降の開催情報もお知らせしていきます。